ブラック企業での暴言・暴力の実態ついて、前回の《ブラック企業だけは絶対に避けて!恐怖の実態1-恫喝・暴力編-》にて、お伝えしました。
従業員を苦しめる要素には、暴言・暴力だけでなく、長時間労働も問題です。
長時間の労働がどれだけ苦しいか、人生を狂わせるかを、具体的に想像出来るように、私の経験を中心にお話していきます。
一日16時間労働
私が一時期勤めていた会社では、朝の7時30分には出社し、夜は23時30分に終わるのが平均的な勤務時間でした。
厳しいノルマへのプレッシャー、怒鳴り声が響き渡るような殺伐とした職場環境での、一日16時間の労働は一日を乗り切るだけでも、疲労感は半端無いものでした。
そんな16時間労働が数か月も続ければ、身も心もボロボロになります。
こんな長時間労働の会社は普通に多数存在します。
こんな会社が存在するから、入社数か月で退職するケース、入社数か月で自殺するケースが多々生じるのです。
7時30分~23時30分の16時間も働くという事は、普通の8時間労働の人に比べれば、単純に2倍働かされている事になります。
夕方の17時になると、パート社員さんが帰り始めますが、そこからまだ6時間以上仕事がありますから、パート社員さんが帰り始めると、「やれやれ、今日の第2部の始まりか(涙)」と思わずにはいられなかったです。
営業手当という名のサービス残業免罪符
営業の社員には、月に数万円の営業手当が支払われていましたが、それで全ての残業をカバーするとの意味合いがあったようで、残業代という概念は存在しません。
「営業手当を払ってるんだから、残業代まで求めるな」という事でしょう。
仮に、17時が定時として、17時から23時までが残業という事であれば、毎日6時間残業している事になりますが、全てサービス残業でした。
タイムカードなども存在しませんでした。
そもそも、7時30分から23時30分が定時のような扱いになっていたので、その会社では残業という概念が無かったです。残業という言葉が発せられる事も無かったです。
年間休日40日。休みに、実際に休むと怒られる
ちなみに、そこは不動産業でした。
基本的に一般の個人に対しての営業が仕事のメインである会社には土曜・日曜などの週末に休むなどの発想はありません。
週末こそお客様と直接会って契約へと進めるチャンスですから当然です。
一週間のうちで、唯一の休みは、水曜日だけでした。水曜日の他には年末年始とゴールデンウイークが休日になっていました。
年末年始が4日、ゴールデンウイークが4日、あとは水曜日(52日)です。つまり、年間の休日は60日です。
休日だろうと、水曜日に仕事が入る事も多々ありますから、実際には年間休日40日くらいでしょうか。『振り替え休日』なる概念も存在しません。
安定優良企業なら年間120日は余裕で休めますから、単純に休日は半分以下、三分の一以下という事です。
有給だとか、祝日などは、私が勤めていた会社にとっては全く無縁なものでした。
しかも、唯一の休みの水曜日には、お客様の銀行からの借り入れ契約などが入り易く、結局まるまる2週間休めない事もよくありました。
週に一回の休みという事は、その休みも仕事になれば、結局2週間続けて働く事になりますよね。
唯一の休みである水曜日に仕事が入ってしまった時には、次までの休みが途方もなく長く感じて、深い深いため息をついたものです。
ちなみに、休みに出勤したから、『休日出勤の手当が出る』・『代わりの日に休める』などの制度もありません。あったとしても、教えてもらえません。
休日に休むと怒られる
営業の仕事は、お客様の都合が第一です。営業社員の都合とか人権などは存在しません。
また、営業成績へのプレッシャーも半端ないです。
藁にも縋(すが)る想いで契約にこぎつけた客様ですから、「銀行が開いている平日なら水曜日しか時間がとれない」と言われれば、唯一の休みの水曜日でも、喜んで?水曜日に日程を調整します。
それだけ、個人の売り上げ(ノルマ)へのプレッシャーは凄まじかったのです。
また、ゴールデンウイークにもお客様との商談が入り易く、結局ゴールデンウィークの4日全部休める事などありませんでした。
ゴールデンウィークは、数少ない貴重な休みですから、子供のいる先輩社員は家族サービスもしたかったでしょう。
その先輩は仕事が入らずに、ゴールデンウィークを4日まるまる休んだところ、休み明けに「なんで4日も休んでるだ!!仕事しろ!」と社長に怒鳴られていました。
長時間労働になる理由
ここで、なぜ、そんな長時間労働になる程に、仕事があるのか?と思われる人も多いでしょうから、その辺りの事情を説明します。
長時間労働になる要因は様々ありますが、主な要因は、長時間労働が常態化している会社の中では、夜遅くまで長時間仕事する事が、『会社の常識』になっているからです。
一般的な常識とはいくらかけ離れていたとしても、『会社の常識』とは恐ろしいものです。
夜の20時にもうすべき仕事が無かったとしても、『チラシを作って自分で各戸に投函する』『買う見込みの薄いお客様に電話する、手紙を送る』『展示場の配置を変える』『先輩従業員の長話に付き合う』など、時間をかけた割には効果は限りなく小さい、時間の無駄としか思えないような仕事を作って、22時~23時まで仕事をするのが従業員の暗黙の義務になっているのです。
早く帰ればいいのに、仕事が無くても帰れないのです。
夜中まで仕事をするのが当たり前ですから、時間内で効率の良い仕事をしようなどの仕事を早く終わらせようとのモチベーションはほとんど無く、23時頃に仕事が終わるように、仕事をしているのです。
そんな時間設定で働いていれば、そこに急な仕事が入れば、当然午前様になります。
折り込みチラシの作成や、展示会場の設営などにおいても、はっきり言って結果に違いなど出ないような細部にこだわって、何時間も試行錯誤したあげくに、結局最初の状態に戻る事も多々ありました。
そもそも、売り上げのノルマが異常に高いので、必死に頑張って成績を多少あげても、毎月その高いノルマを達成する事など不可能であり、ほぼ毎週営業会議で怒鳴られる事は決まっています。
異常なノルマによって、ほとんどの社員が成績が出てない状況の中、21時頃に帰ろうとすれば「成績も出てないくせにこんなに早く帰るのか!」・「成績が出てないなら、日をまたぐまでは最低限仕事しろ」との暗黙の空気があるので、部長以外は毎日22時~23時まで仕事をするのです。
勇気を出して早く帰ろうものなら、怒られて、その日以降さらに遅くまで残る必要が生じるので、部長と先輩が帰った直後の絶妙な時間に仕事が終わるようにしていました。
こんな会社に3年以上在籍している先輩達の短時間睡眠でも働き続けられる体力には、頭が下がる想いです。
しかし、実際にその下で働いていてフラフラで疲労困憊の当時の自分は、この先輩達の『帰らなさ』に呆れ果てていました。
特別な才能・会社への多大な貢献が出来る人なら、定時に帰っても文句を言われない
16時間労働を年間40日の休日で何年も働ける先輩達は、私からしたら普通ではなかったです。
一部紹介すると、『短時間睡眠耐性が異常に高い人』 『奥さんと仲が悪く、家にいたくない人』 『上手くサボって毎日コンビニで仮眠をとれる度胸のある人』 『人脈豊富で一定以上の成績があげられ、早く帰っても文句を言われないベテラン社員』などでした。
もしも、人並み外れた頭の良さや特別な才能があって、長時間労働せずとも、営業成績がトップクラスの結果が出せるならば、早く帰っても誰にも文句は言われないでしょう。
しかし、あなたは毎日4時間睡眠を続けて16時間ほとんど休みなく働き続ける耐性者ですか? 学校一の地頭の良さがありましたか? 何十人・何百人の中でトップクラスの人脈・人望はありますか? 嘘・騙しを平気に扱って周りを蹴落としてでも仕事を奪うだけの悪い事が出来ますか?
特別な才能のない普通の人間は、そんな結果が出せないのですから、ブラック企業では、周りに合わせて長時間労働をしていかなければならないです。
そもそも、現実的には、要領や才能だけで営業成績がいい人などいませんでした。
営業成績のいい人は、他の人以上に遅くまで働いていました。
一般の個人を相手の営業では、一人から莫大な利益を得られるものではないので、数をこなさずに、トップの成績などあり得ないのです。
個人相手の営業でトップになろうとするならば、地道に深夜まで働くのは当たり前で、上客から呼ばれれば全てを犠牲にしてその上客に尽くし、寝ずに頭脳明晰に交渉・商談する必要があります。
そして、大半の人は、営業成績がノルマに達せずに、成績が出ないから、早く帰れずに、夜中まで仕事をするのです。
結局、営業成績が良かろうが、悪かろうが、長時間労働ブラック企業では、ほとんどの社員が会社に身を捧げて、朝から深夜まで働き、身体か精神が壊れるまで働き続ける事になり、使えなくなったら捨てられるのです。
深夜まで働くのが当たり前の業界は多い
マスコミ業界、広告業界、証券業界、保険業界、不動産業界、住宅販売業界、車のディーラー、下請けのネット業界、医薬品業界、など、夜遅くまで働くのが当たり前になっている業界は結構あります。
また、業界の中でも、比較的ホワイトな企業もあれば、業界きってのブラックで有名な企業もあります。
企業風土にもよるでしょうし、その時の社長や上司の方針にも大きく左右される面はあるでしょう。
『仕事での体力』とは、筋力・持久力でなく、『短い睡眠でも働き続ける力』の事
ある会社に入社した当初に、そこの幹部が開口一番「体力が一番大事だから!」と話していました。
その当時は、『体力』とは、筋力や持久力など運動能力・肉体労働力的な部分が重要なのかなと受け止めていましたが、後々考えれば、その幹部が本当に言いたかった体力とは、長時間労働を乗り切れる体力(寝ずに働ける力)の事だったと合点いきました。
つまり、この会社に残れるか?この会社で良い営業成績を上げられるか? これらは、寝ずに働ける力(自分の時間も睡眠時間も削って、どれだけ会社に忠誠を尽くして、会社の為に時間・健康を捧げて、結果を出せる力)に懸かっているという事だったのです。
残業の多さ・サービス残業の有無は、企業・組織によりバラバラ
時期によって残業が重なる職種や業界もあります。
国会対応の国家公務員などは夜中まで連日対応が必要になり、厳しい残業が続く事も多いでしょう。
国家公務員や地方公務員なら、災害などの非常時にも残業が続くでしょうから、突発的に長時間労働が続く事もあります。
しかし、公務員ならば、残業すれば残業代は出るでしょうし(教員や部署によってはサービス残業が多い場合もあるそう)、土日祝日は基本休めて、振替休日・有給消化等の制度も恵まれているでしょう。
一方で、どれだけ長時間の労働を強いられたとしても、、サービス残業として残業代が払われない企業も沢山あります。
ちなみに、私は、複数の長時間系ブラック会社で勤めてきましたが、長時間労働系ブラック会社で残業代が払われた事は一度もありませんでした。
長時間労働をさせて、法定通りに残業代を払っていたら、残業代は凄い額になります。安く長く働かせてなんぼのブラック企業が従業員に法律通りに、残業代を払うはずがないです。
はじめから残業代を払うつもりがないから、長時間労働させているのです。
社長の本音は、安く、目一杯、働かせる事
長時間労働が生まれる要因には、経営者が儲ける為という要因もあります。
お金を払ってパートさんを雇って仕事をしてもらうより、その仕事を社員にサービス残業で働かせたら、パートさんを雇う費用が浮きます。
従業員を残業代無しで長時間働かせ、従業員の休日を減らしてたくさん働かせた方が、会社が得するのです。
経営者も必死ですから、手っ取り早く利益を出す為に、サービス残業をさせ、休日にも働かせて、残業代・休日出勤手当を払わず、給料が高くなった社員を解雇して、手っ取り早くコストを下げるのです。
個人相手の営業は、個人が自宅に戻ってから本格的に始まる
また、営業の相手が一般の個人の場合には、一般の人が仕事から自宅に帰ってくる18時30分頃~20時ぐらいまでの時間は、電話で営業をかけたり、商談をするゴールデンタイムになります。
だから、個人相手の営業なら、その性質上、個人営業のゴールデンタイムに当たる19時に帰宅するなどは、有り得ないのです。
下請け企業は、委託企業が帰る時間まで、連絡を待つ為に帰れない
また、業界全体が夜遅くまで仕事をしている場合、自分の企業だけが早々と退社していては、夜に連絡が繋がらずに仕事になりません。
下請け企業が委託企業からの連絡をすぐに受けられなければ、契約を切られてしまうので、来るか来ないか分からない連絡を待つ為だけに遅くまで働く場合もあります。
立場の弱い人ほど、さらに長時間労働を強いられる
また、政治家の秘書にしろ、売れっ子芸能人のマネージャーにしろ、テレビ制作におけるADにしろ、絶対的に立場の弱い者は、上の者が遅くまで仕事をすれば、先に帰るなどあり得ないのですから、さらに遅くまで仕事をして、超長時間労働になるのは必然なのです。
MRなどの医薬品の営業ならば、生殺与奪の権利を持つ医師には絶対服従です。営業資料を手渡す為だけに、医師の仕事が終わるまでただただ待つ事が日課です。
病院の医局前の廊下は営業マンが何時間もただ立って、夜の8時なのか、10時なのか?医師の仕事が終わるのを待っています。
傍目からは、廊下に何時間も立たされている光景にしか見えず、なんと生産性の無い仕事とも思えます。
ただ待つなど不毛に思える事でも、医師に尽くした結果として自社の薬を使ってもらえたならば、大きな利益に繋がります。だから、情けなくとも、廊下でただ立って待つのです。
服従心を示し続ける事で、十分な利益をあげられるのなら、長時間立たされる事も厭わないのです。
22時から仕事を頼まれる地獄
私の勤めていた会社では、長時間労働も短時間睡眠も平気な人間の集まりでした。
そもそも、こんな過酷な職場には長時間労働にも・恫喝にも耐えられる猛者しか残れません。
早く帰ればいいのになかなか帰りません。昼のうちにやっておけば良い仕事を夜の22時くらいになって、持ち出して、(先輩)「一緒に広告のチラシを作ろう」 (私)「はあ・・・」そんな日は、午前様確定です。
そして、週に1、2回さらなる地獄がありました。その地獄とは、社長による夜食会です。
仕事の後の食事は満腹地獄
21時頃になると社長が2階から降りてきてます。
(私)「社長、とっとと帰ってくれ!・・・」との切なる願いも虚しく、
(社長)「よし、飯いくぞ!!」との号令がかかると、どんな大事な仕事・期限が迫った仕事が残っていても、全員が仕事を放って、社長との食事に向かいます。
「ここの焼き鳥は上手いだろ?」などと言いながら、アホのような量の注文します
社長の注文した焼き鳥は絶対に残してはいけません。
お腹いっぱいになりながら必死で食べている、その先から、「ねぎま10本、軟骨10本、もも10本・・・あとつくねも10本」自分は食べないくせに、狂ったように注文します。
食べさせられる者の気持ちなど微塵も感じずに、たくさん注文する自分に酔って優越感に浸っているようでした。
社長としては、社員を想っての事なのでしょうが、空腹よりも、腹いっぱいのお腹に無理して食べる方が100倍辛いです。
「どんどん食べろよ、残すなよ!」。軽く言ってくれます。
そもそもブラックな営業会社で、社長や営業部長になるような人間は、相手の気持ちを察するような能力よりも、相手の気持など切り捨てて、強引に推し進める図太さの能力が高い人が多いのではないかと感じます。
相手の気持ちに共感し過ぎる人は、個人営業向きではないです。相手の気持ちなど、どうでも良くて、ぐいぐい自分の意見と自分の利益の為であっても、あなたの為ですと、白々しい嘘を平気で言える人が、営業の職に向いています。
胃が一杯で腹がパンパンに膨れ、はち切れそうになり、吐き気を伴いながら、涙目になりながら、つくねを口の中に押し込みます。本気で死にたくなる苦しさでした。
営業の猛者どもは、暴言・暴力・長時間労働に平気なだけでなく、胃の強さも化け物でした。悪魔の社長の注文をペロリです。
社長による夜の食事会で暴食させれられた日は、胃が苦しくなかなか寝付けません。
ただでさえ慢性睡眠不足なのに、前日の焼き鳥とつくねで胃がパンパンで寝れなかった次の日も、クッタクタ、フラフラの状態で、16時間労働、ノルマのプレッシャー、恫喝の中を働かなくてはならないのです。
こんなのが毎日続くのです。地獄です。
本当の長時間労働ブラック企業では、仕事に追われて、訴えなど起こせない
長時間労働による睡眠不足が続くと、
「夜が遅いのだから、朝の反省会を無くして、朝くらい遅く出社させてくれてもいいじゃないか!!、その方が効率的だ」
「労働基準監督署は、何をしてるんだ、仕事しろ!!」
などと、怒りを心の中で叫んでいました。
『労働環境改善を上司に訴える』・『労働基準監督署へ訴える』など、実際にアクションを起こす方法もあったかもしれません。
しかし、慢性的かつ過度の睡眠不足で思考・意欲が低下した中で、ノルマ・罵倒のプレッシャーに押し潰されかけ、自分の仕事をこなす事に精一杯で、実際に労働環境改善への行動に起こす事はありませんでした。
本当に長時間労働がひどいブラック企業の従業員は、仕事に追われているので在職中に会社を訴える暇はなく、意識朦朧フラフラ状態で仕事をしているので訴える意欲も萎えているので、在職中に訴える事は、現実的にはほぼ不可能です。
結局、長時間労働による睡眠不足・過労で自殺し、その親が訴えているのが現実です。
大企業なら、訴えれば、損害賠償金を貰える可能性があります。
しかし、これが零細企業であれば、損害賠償金を支払う余裕すらないので、零細企業に過労自殺を訴えるケースは少なく、泣き寝入りしている家族が多いのではないでしょうか。
長時間労働ブラック企業勤めの休日は、ひたすら寝るだけ
唯一の休みである水曜日は、睡眠不足を補うように、ただひたすら寝て過ごしました。
長時間労働ブラック企業勤めの人は、僅かな休日は、睡眠不足を補い、疲労を回復する事に当てられるので、充実した休日など望めません。
休みが無ければ、家の事・プライベートの事をする時間も無いので、家もプライベートも、ぐちゃぐちゃ・滅茶苦茶になっていきます。
成約とれなくても地獄、成約多くても地獄
契約が少なければ、「お前はガソリン代も稼げてないぞ、給料泥棒!」などと罵倒されて、買う気も無い昔のお客様への営業を指示されて、無意味な迷惑電話をかけまくっていました。
契約が増えれば、契約に伴う事務作業が増えて、長時間労働に拍車がかかり、睡眠時間はますます減って2、3時間の睡眠時間しかとれなくなってしまいます。
契約が取れなくても地獄、契約が取れても地獄。どっちに転んでも、苦しいだけの、希望が見えない状況です。
多くのブラック企業に働く人は、余裕のない状況だからこそ、仕事の量とプレッシャーに追い込まれているからこそ、長時間労働を改善する行動を起こす余裕などありません。
ブラック企業に入ったが最後、無理をし続けて潰れるか、辞めて転職地獄か、どちらかの道しか無いのです。
長時間労働・慢性的睡眠不足により、脳梗塞・命の危機
一日16時間以上働くという事は、そこに通勤時間・食事・入浴など必要最低限の事を済ますだけで、睡眠時間は4時間程しかとれません。
しかも、23時30分まで仕事をしていると、夕食を食べてすぐに寝て何とか4時間の睡眠を確保する状態です。
食事を食べてすぐ寝ると、身体も脳も休もうとしているのに、消化器官は活発に活動する状態で、睡眠の質は極めて悪いです。
そんな状態が何か月も続くと、朝起きて歩こうとしても、平衡感覚を保てず、まっすぐ歩けずに、勢い良く壁にぶつかり、倒れ掛かりながら目を覚ましていく状態になります。
日中に心臓がバクバクと動悸に襲われる事が多かったのも、慢性的な睡眠不足・睡眠の質の悪さが影響していたと実感しています。
このままでは、脳梗塞など重篤な病気に繋がると、本気で思いました。
私が勤めた長時間労働ブラック会社の先輩はまだ40代ですが、そこの会社で脳梗塞を起こした事があったそうです。
麻痺は軽度だったからと、まだそこで働いていました。
脳梗塞は再発をし易い病気です。「健康の為に、命の為に、家族の為にも、一刻も早くこんな会社辞めた方がいいのに」、と思いましたが、言えませんでした。
結局その人は、営業成績が悪いとの事で、社長・専務・部長からの集中攻撃を受けて、自ら辞めていきました。
辞めさせるのに、解雇する必要はないのです。ブラック企業では、幹部・上司が集中攻撃して、自ら辞めさせるのです。
脳梗塞を起こすまで、働き詰めにしておいて、使えなくなったら、集中的にイジメて辞めさせる。これがブラック企業です。現実です。
長時間労働・慢性的睡眠不足により、事故・命に危機
慢性的な睡眠不足が何か月も続くと、判断力も低下してミスも明らかに増えます。
私が勤めていた会社の先輩は車の事故で亡くなりました。
この会社も午前様は当たり前、終電が無くカプセルホテルを自腹で払い仮眠をとって仕事をする事も何度もありました。
数時間の睡眠しかとれないような働き方が普通の状態でした。
きっとこの先輩も慢性的な睡眠不足により、必死に眠気と戦って運転はしていたものの、運転中に意識を失って大事故になってしまった可能性が高いと思っています。
日本には長時間労働を強いる会社は山ほどあります。
日本における数多くの痛ましい交通事故、それらの事故はブラック企業による長時間労働が原因で起きてしまった事故も少なからずあるはずです。
道路交通法には、過労等により、正常な運転が出来ない時には運転してはならないと、記されています。
しかし、「過労なので運転出来ません」と、言える会社員がこの日本に何人いるでしょうか?
営業職は、長時間労働・慢性睡眠不足が当たり前なのに、車の運転をせざるを得ない機会が多いです。
都心の道路には、慢性睡眠不足でフラフラ状態で運転している人がたくさんいます。
悪魔のような長時間労働さえなければ、失わずに済んだ数多くの命があることでしょう。
数時間しか寝れない状態が続くと、満員電車に揺られている最中でも意識を失うように眠りに落ちて、ガックと膝が折れて倒れる寸前に起きるような事もしばしばでした。
立っていても寝てしまう状態ならば、座っての運転中には、必死で意識を保とうとしても、意識を保てないほどの眠気に襲われる事は頻繁に起こります。
そんな強い眠気に、運転中に襲われたならば、自分の頬(ほほ)を平手打ちしたり、太ももの肉をギュッとつねったり、大声を出して眠気と戦っていました。
コンビニの駐車場で寝ている営業マンはサボっているわけではない
コンビニなどに駐車して、車の中で眠っているサラリーマンを見かけた事がある人もいるでしょう。
一見すればサボっていると思われるかもしれません。
しかし、数時間の睡眠しかとれていない、ブラック企業営業マンの多くは、ノルマや上司の恫喝に追い詰められていますから、サボるなどの発想はありません。
慢性睡眠不足で、意識を保て無い程の眠気に襲われ、事故を起こさない為に、仮眠をとっているのです。
慢性的な睡眠不足の状態では運転中に何度も意識を失いかけます。
薄れる意識の中でも、事故を起こすかもしれないとの恐怖心にかられて、ほぼ無意識に駐車出来るコンビニを探し、5分だけ仮眠をとるのです。
こんな意識を失いかけるほどの睡眠不足では、タイマーをセットした瞬間に眠りにつけます。
アラームで5分後に起きると、5分の睡眠だけでも、意識朦朧(もうろう)状態からは、ある程度脱する事が出来、運転が出来るくらいには覚醒出来ます。
仮眠で動悸が生じる事も
しかし、5分の仮眠でパッと起きた瞬間には、冷や汗が出るような心臓の激しい動悸に何度か襲われた経験があります。
激しい動悸により、命の危機を感じたからか、それらの動悸が起きた瞬間の状況は、今でも鮮明に覚えています。
毎日、怒鳴りやノルマへのプレッシャーなど、強い緊張状態で、働き続けた事でも心臓には負担を強いていたと思います。
さらに、過度の睡眠不足状態での、不規則な数分の仮眠は脳を休める事にはなっても、心臓には大きな負荷がかかっていた事が推測出来ます。
5分の仮眠で、パッと起きて直後の動悸は、準備運動無しにいきなり全力疾走した時に生じた事がある動悸に近い感覚がありました。
慢性的な睡眠不足の状態で、身体は睡眠に飢え、仮眠ではあるのですが、身体は、深い眠りについて必要な何時間もの睡眠をとろうとして、ゆっくりとした鼓動を刻み、完全に休むモードに入った心臓が、たった5分の仮眠で強制的に起こされた事で、心臓はビックリして、自律神経の働きもパニックを起こし、激しい動悸に繋がったのだと思います。
過労による心臓発作はこうして起きるのだろうと、それに近い体験をする事で感じました。
ブラック企業を辞めて、ブラックでない企業で働いている現在は、ありがたいことにそんな動悸が起こる事も全く無くなりましたが、当時の心臓への過度な負担により、寿命は確実に縮んだと確信しています。
ブラック企業 残っても地獄、辞めても転職地獄
長時間労働による睡眠不足が続くと、気力もどんどん低下していき、「辞めたい、辞めたい、辞めたい、辞めたい、辞める為にはどうすればいいのか?」といった精神状態まで落ちていきます。
長時間労働が普通になっているブラック企業に就職してしまえば、普通の人ならば、1年耐えられずに、仕事を辞めざるを得なくなるでしょう。
そして、転職しても、またブラック企業にしか入れずに、さらにまた転職をする悪循環。
ブラック企業は、簡単に辞めさせてもらえない。入るより辞める方が難しい。
転職をするという事は簡単な事ではありあません。職を探して、採用されるまでも大変ですが、そもそもブラック企業を辞める事だけでも、大変な苦労をします。
ブラック企業は、安くて長時間働かせる為に、一度入ったカモを簡単には手放してはくれません。
色々難癖をつけて、辞める時期を先延ばしにしてきます。
私の場合は、複数上司・複数同僚・関連会社の社長・顧問弁護士など多くの人に、会って話をするセッティングをされ、辞めないように説得されました。
合うセッティングをされれば、応じるしかありません。
それぞれの人に、何時間も、繰り返し、辞める理由を聞かれ、続けるように説得をされました。
その会社で働いている人に向かって、暴言や暴力や長時間労働が辛いとは言えるものではありません。
相手を不快にさせないように、体(てい)の良い辞める理由を考え、説明し、納得してもらわなければなりませんでした。
また、契約直後や契約間近のお客様がいる事を理由に、なかなか止めさせてもらえませんでしたので、新規のお客様をとらないようにしていたら、今度は「お前の売り上げが減っているからしっかり働いてから辞めろ」との言われようでした。
百戦錬磨の営業会社ですから、社長の思惑は何が何でも成し遂げようと、あの手この手を様々使い、辞めさせない手段の講じ方も半端なかったです。
ブラック企業は、入るのは簡単です。しかし、ブラック企業を辞めるには、かなりの覚悟と労力を要します。
ブラック企業に入ってしまったら、幸せな人生は無し。地獄の人生の始まり。
長時間労働を強いる、長時間労働が当たり前になっている企業に入社してしまったならば、
慢性的な短時間睡眠に耐えられずに辞めて、転職を繰り返す転職地獄に陥るか?
辞める事も出来ずにうつ病になって自殺すか?
大きな病気や大きな事故を起こして死ぬまで残る重い後遺症を背負って生きていくか?
どうしたって苦しい道しか残されていないのです。
私は、転職地獄の末に、安い給料ながら人間らしく働ける職場を見つけて、何とか生きていますが、もう10年以上前のブラック企業でのトラウマがまだ強く残っており、月に数回はブラック企業で働いている悪夢を見て目が覚めます。恐らく、死ぬまでこの嫌な夢は見続ける事になるでしょう。
長期間に渡る睡眠不足は、確実に病気・事故・後遺症の可能性を高める
短時間睡眠にも平気で、長時間労働の職場で働き続けられるスーパーマン・スーパーウーマンでも、安心は出来ません。
仕事への意欲が高く、アドレナリンを出して長時間労働に耐えられるような人でも、実際には短時間睡眠の悪影響は着実に身体を蝕(むしば)んでいます。
長期間に渡る睡眠不足は、心筋梗塞・脳梗塞・脳出血・うつ病・判断力低下による大事故を起こして大けがをするなど、日常生活を普通に送る事すら出来ないほどの症状・後遺症を伴う病気・ケガの可能性を大きく高めていると考えます。《短時間睡眠を続け、若くして脳出血を発症した人のお話。慢性的寝不足は病気・事故・後遺症で苦しむリスクを高める!》
実際に僕の身近でも長時間労働系ブラック会社の先輩は脳梗塞を起こしていましたし、別の長時間労働系のブラック会社の先輩は交通事故で亡くなりました。また、直接会った人ではないですが長時間労働系ブラック会社の別の県の社員さんはうつ病を患い自殺したとも聞いていました。
今回は、ブラック企業における長時間労働の実態を、私の経験を中心にお伝えしてきました。
人間らしく生きたいなら、ボロボロの人生を送りたくないなら、仕事が原因で早死にしたくないなら、仕事が原因で重い障害を負いたくないなら、家族を大切にしたいなら、長時間労働が常態化した企業、休みが極端に少ない企業への就職は、何としても避けるべきではないでしょうか?
次回は、ワーキングプア・ポエム企業など、低賃金の企業に焦点を当てたお話をしたいと思います(《ブラック企業だけは絶対に避けて!恐怖の実態3-低賃金ワープア編-》)。
働いても、働いても給料が上がらず、家族に十分な食事も与えられない心苦しい状況、奥さんから「稼ぎが悪い」と四六時中言われる惨めな状況を想像してみてください。
日本で職を探しても、実はワープア企業が大半である事、お金を一定以上稼ぐ事はとても難しい事、お金を稼げなければ家族を養えない事を知れば、本気で勉強に取り組もう、全力で就職活動に取り組もうと、否が応でも想えるでしょう。
これから就職活動に取り組む学生ならば、ワーキングプア企業についても絶対に知っておくべきです。
ワーキングプア企業について、就活前に知らなかったでは、一生後悔する事でしょう。
ここまで、お時間を割いて読んで頂き、ありがとうございました。今後もあなたにとって少しでも助けになれる情報提供を心がけます。別のページも、ご覧頂けたら幸いです。
また、あなたの大切な友達や後輩、大事な子供が就職活動の前段階であるならば、ブラック企業での長時間労働の実態を知っておき、避けるように導いて、助けてあげてください。このページのリンクをメールで送ってあげる、SNSにリンクを張るなどして、是非とも教えてあげてください。
笑ビー
お勧めページ
《ブラック企業だけは絶対に避けて!恐怖の実態3-低賃金ワープア編-》
《ブラック企業だけは絶対に避けて!恐怖の実態1-恫喝・暴力編-》
《数ヵ月で仕事辞めた人の地獄顛末。でも死にそうなら、すぐ辞めた方が100倍幸せ。諦めないで!》
《凡人の仕事の流儀。ポンコツでも組織内で生き残る為の処世術・仕事術。》
《短時間睡眠を続け、若くして脳出血を発症した人のお話。慢性的寝不足は病気・事故・後遺症で苦しむリスクを高める!》
《国力急落の日本で就活・転職するなら、安定一択。安定した仕事を目指せ!》
《男も女も、安定・高給・休み充実の公務員・独占的大企業を目指すべき理由》